それが罪だとしても…【完】

2章 目的

 
「あ、れ……」


再び失っていた意識。

ふと瞼を開けると、さっきとは違う温もりがそこにあって……


……何、


あたしの右手は、男に握られていた。


さっきまでずっと寝ていたはずなのに、再び訪れていた睡魔。

本当に疲れていたからなのか、
それともこの温もりから伝わる、温かさからなのか……。

自分の体が痣まみれで不安になっていたのに、
男に包み込まれた瞬間、守られた気分になった。


この人はあたしを誘拐した人。


その事実を忘れてしまいそうで……。


「……なんだ、起きたのか」
「あ……」


ぼーっと男の目元を眺めていると、その瞼がゆっくりと開けられた。


「起きてたの?」
「ああ。といっても、だいぶ夢見心地だったけど」
「そう」
「シャワー、浴びるか?」
「え?」


突然の提案に、ちょっとだけ構えてしまった。


見ず知らずの男の家で
シャワーを浴びるということ。

それにあたしの足には……


「シャワー浴びるときくらい、外してやるよ」


自然と目線が足枷に降りていたようで、男はあたしが何を言いたいのか悟ってくれた。
 

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