それが罪だとしても…【完】

 
「たいした演技力だよ。
 途中、彼が柚ちゃんを殴らないかヒヤヒヤしたくらい」


鍵を閉めた満さんは、へたりこむあたしの前にかがんだ。

その顔を見て、悔しさで涙も止まる。


「でもこれで、柚ちゃんは彼を守ったってことだ。
 えらいえらい」


まるで、小さい子供が言いつけを守ったかのように、頭を撫でた。


偉くなんかない。
あんなに彼を傷つけて……。



(……傍に……いるよっ)



確かに一昨日、そう誓ったはずなのに……。


今、一番辛い時期に
あたしはさらに追い打ちをかけるかのように彼を突き放した。

本当にひどい女だ。


だけど……



「大丈夫。
 柚ちゃんがイイコにしていれば、美由紀さんには彼の正体はバラさないから」

「……約束よ。絶対に守って」



これが彼を守る
一番の方法なんだ……。
 

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