それが罪だとしても…【完】

16章 誘拐

 
パタン……。


ドアが閉まる音。

外は夕焼けで赤い空。


どうやら、今日もお母さんは夜勤のようで、5時になると部屋を出て行った。
満さんは少し前に出て行ったみたいで、今日も静かな夜を過ごせそうだ。


ご飯…どうしようかな……。


誰もいなくなって、ようやくこもっていた寝室から起き上がる。
結局、昨日、恭哉の姿を見て家に帰ってから、何も口にしていなかった。


彼の幸せを願うことが
自分の幸せだから……。

だから恭哉が女の人とホテルから出たところを見て、どこかほっとしている自分がいたのも確かだった。

だけど隠し切れない。
ほっとする自分もいるのは確かだけど
それ以上にショックを受けているから……。


食欲なんてわかないし
頭の中にはずっとあの二人の背中。


それももう、いい加減忘れなくちゃ……。



抑え込むように、無理やり体を起こしてリビングへと向かった。

もう完全に充満している、煙草の匂い。
一時期、あたしが恭哉ももとへ誘拐されているとき、戻ってきたときには満さんの気配はなくなって、煙草の匂いも薄くなっていたけど……
結局は、あれもあたしを連れ戻すための作戦だったらしい。


あたしを連れ戻すまで、満さんは姿を隠し、
そのあとにまた戻ってくると……。


本当にあたしは、バカな女だ。
 

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