それが罪だとしても…【完】

19章 愛しくて

 
仕事から帰ってきても、柚はまだ目を覚ましていなかった。

そういえば、電話でもあの男が言っていた。


睡眠薬を飲ませたって……。



どれくらいの量を盛ったかは分からない。

だけどこんなにも長い時間目を覚まさないということは、通常の分量ではないのか……。
呼吸や血色には問題なさそうだが、意識だけを取り戻さない。


やっぱり病院に連れていくべきか……。


病院に連れていけば、必ず今回のことは警察沙汰になるだろう。
下手すれば、自分さえも勝手に連れ出してきたのだから何か問われるかもしれない。


そんなのはどうだっていい。


目が覚めたら、俺は柚にとって悪者でしかならないかもしれない。
見ず知らずの俺を、怖がるに決まっている。


でもそれでいいんだ。




彼女にとって俺は
ただの誘拐犯で……。

0
  • しおりをはさむ
  • 170
  • 2466
/ 289ページ
このページを編集する