それが罪だとしても…【完】

20章 彼女の覚悟

 
柚をあのホストの男から連れ去って
もう一度存在を確かめ合ったはずだった。


柚は俺を守るために自ら犠牲になり、あの家に残ったこと。
そんなことはクソくらえで、柚が犠牲になるくらいなら世界中の人を敵に回しても逃げ回ってやる覚悟でいた。


だけど朝起きると
捕まえたはずの柚はもうどこにもいなくて……



ピンポーン……


ふいに鳴ったインターフォン。
モニターに映る人影を見て、覚悟を決めた。



「はい」
《三神恭哉さんのお宅でしょうか。
 ちょっと芦屋柚さんについてお尋ねしたいのですが……》
「……はい」



俺を訪れてきたのは
すでにまわってきた警察で……


柚がここにいない以上、逃げる理由もなく、俺はオートロックを解除して、警察を出迎えた。



「お忙しいところ、申し訳ありません。
 芦屋柚さんをご存知ですか?」


ご存知かと聞かれて、たとえ知らないといってもいろいろな方向で詰めてくるんだろう。

通報したのは、ホストから手回しされた母親だ。
さっそく動いてきた奴らにため息をつき、素直にうずいた。



「そうですか。
 少しお話したいことがありますので、署までご同行願えますか?」

「わかりました」



俺にとって
もう失うものが怖いものなんて何もないから……。
 

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