それが罪だとしても…【完】

3章 信頼

 
いない……。


朝、目が覚めてリビングへと向かった。

足元からは相変わらず鎖がジャラジャラとなっていて、寝るときちょっとだけ気になった。
開けた扉の向こうには、恭哉の姿は見当たらなくて……。


「……仕事…?」


代わりにあったのは、テーブルに置かれた一枚の紙切れ。


【仕事に行ってくる。
 部屋は好きに使え】


そう書かれてあった。


隣には、たくさんのDVD。
いくつか並べられた雑誌。

喉が渇いて、冷蔵庫を開けると、食べ物に困らないほどの様々な食材が入っていた。


何がしたいんだか……。


これ以上ないっていうほどのもてなし。
この部屋にいれば、何もかも揃う。
暇をしないよう、娯楽まで置いてある。


それでもあたしは、囚われの身。
その証拠に、繋がれた足枷。


だけど苦痛に感じることすら、忘れてしまいそうだ……。



冷蔵庫から未開封の水を取り出して、喉へと流し込んだ。


苦痛はないかもしれない。

けど……



「………おかあ、さん……」



寂しさは消えない。
 

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