それが罪だとしても…【完】

最終章 光

 
「……」


次に広がった世界は
真っ白な天井だった。


つるされた点滴に、漂う薬品の匂い。


きしむ体。
ゆっくりと動かす首。

映された視界の先には……



「きょ……や……」



恭哉が、強くあたしの右手を握り
自分の額へと当てながら俯いていた。


「………柚…?」

「きょう、や……」


あたしの声に反応して、顔を上げる恭哉。

目を大きく見開き、あたしをじっと見つめている。


握られ続ける右手を見て、ようやく理解した。

夢の中で感じた、右手の温かい温もり。

それは……
こうやって恭哉が握り締めていてくれていたからなんだ……。


「ごめ…んね……。心配かけちゃった……」

「……ったく……ほんとだよ」


謝るあたしに、恭哉はくしゃっと顔を歪ませる。

大きな手のひらを、あたしの頬に当てると……



「夢の中にまで、さらいに行くところだった」



そう言って、優しいキスを落とした。
 

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