それが罪だとしても…【完】

5章 愛して

 
しばらくして、着いた場所は
逃げてきたはずの高層マンション。

地下の駐車場に入って、降りるよう催促された。


掴む手はない。
だけどその背中についていく。


まるで怒られた子供のようだ。


エレベーターに乗り込んで、51階へたどり着く。
高速エレベーターだから、若干耳がおかしくなった。


ドアが開けられて、そのまま中に入ろうとした手前、恭哉が振り返った。


「いいの?中に入る、で」


今さら聞かれた質問。

今までもずっと逃げ出す余裕はあったのに、あたしはバカみたいにずっとついてきていた。

警察に逃げ込むことだってできた。
だけどそれが、どうだっていうの?

警察に逃げて
通報する相手は……恭哉?
それとも母親?


それすらも分からず、ただ彼の背中のあとをついていくことしか出来なかった。



「うん。いい」



その言葉が最後。

あたしの腕はグイと引かれ、恭哉の部屋へと引きずり込まれた。
 

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