それが罪だとしても…【完】

 
よく分からないまま、あたしもベッドから起き上がって、足元に落ちた服を拾った。

下着と上のシャツだけ羽織り、彼がいるリビングへと向かう。

ドアを開けた先には、すでに恭哉は半分服を着ていた。


「……仕事?」


身に着けている服を見て、すぐに分かった。

決してラフな服ではない、カチッとしたスーツのズボン。
上はまだ髪が濡れているせいか、何も身に着けていない。


「ああ」
「そっか……」


少なからず、どこか寂しいと感じてしまっている自分。

確かに、いい年した大人の男が、何もしないでこんな部屋に住めるわけない。
六本木の高層マンション。
もしかしたら、かなりのエリートかもしれない。


「そんな顔すんな」
「え?」
「置いてかれる子供みてぇ」
「……」


寂しさが顔に出てしまっていたのか、恭哉はあたしの顔を見て苦笑いをしている。


「……べつに…寂しくなんかないし」
「寂しいんだ?」
「だからちがっ……」


否定しようとしたら、その口は恭哉の唇によって塞がれてしまい、それ以上続けることは出来なかった。

頭はしっかりと押さえられていて
後ろへ下がれないよう固定されている。


「おとなしく、イイコで待ってろ」


唇を離して、至近距離のまま伝えられた言葉。

優しく見えるその瞳に、もう何も言い返すことが出来なかった。
 

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