発情注意報!!【完】

5章 小さな変化

 
「はぁ……」


箒を片手に、何度目か分からない溜息を吐いた。

すでに静まり返った店内。
店はもう1時間前にクローズになって、今は店内の掃除中。

スタッフの人は、つい先ほどみんな帰って、残っているのは私と航ちゃんのみ。
航ちゃんは、厨房のほうで、明日の仕込をしていた。


今日は、航ちゃんも私の家でご飯を食べに行く約束を、おかあさんとしたようで、航ちゃんが終わるのを待っているのだ。

ただ手持ち無沙汰に待っているのが嫌で、もうすでに終わっている掃除をいつまでもしていた。



頭の中を、もんもんと駆け巡っているのは、日向先輩の言葉。



(処女を捨てるか、惚れさせるか……)



はっきり言って、恋愛未経験の私が、あんな恋愛偏差値120の日向先輩を落とせるわけない。
だから処女を捨てるという選択肢のほうが、極めて簡単なはずなんだけど……



「さーくら!」

「え?あ、あれ?」



気がつけば、目の前に航ちゃんのドアップ。

綺麗な茶色の瞳が、じっと私を捉えていた。
 

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