黒の蝶【完】

4)



ゆっくりと瞼を開けると、見覚えのある天井が広がっていた。

どれくらい眠っていたのか、チェストの上に置いてある時計を見た。

短い針が11、長い針が5をさしている。


11時5分?

それとも23時5分?


この部屋には窓がないから、昼なのか?夜になのか?私には分からない。

それに窓があったとしても、路地裏の奥にあるこの部屋に、日が射すとは思えない。

ゆっくりと身体を起こして、ベッドサイドに腰かけた。


見覚えがあるのに……記憶がない。


だけど、私は此処で1人で暮らしていた。

それは記憶の欠片の1つ。

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