黒の蝶【完】

2)



「明日一日様子を診て何もなければ、明後日には退院だから」


病室に入って来た矢形と言う医師に、そう言われて、私は気づいた。


何処に帰れば良い……?

帰る場所が私には……ない。

お金も……ない。


そんな風に思っていると、矢形と言う医師は、更に私に言った。


「貴島さんには、私から連絡入れておくから、心配はいらない」


そう言い残して、矢形と言う医師は、病室を出て行った。


貴島って……誰?


入院している間、何度も聞いた『貴島さん』と言う言葉。

それが誰なのか?全く分からない。

そんな私の疑問は、退院した日に、答え合わせをする事が出来た。

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