曼珠沙華【完】

2)



目の前に、広がるのは……真っ赤な血の海。

それを見ながら、膝を抱えているのは……幼い時の私。


何故……?


幼い時の私だと言うのは、分かるのに、真っ赤な血の海の意味が分からない。


これは……夢……?


なら、血の海の真ん中に、横たわる人は……誰?


ヌメリとした感触がして、両手を、目の前に持って行く。


「あぁぁぁ……」


言葉にならない声は、私の心の叫び。


夢じゃない……

私が忘れていた記憶。

そうだ。

私は……


そこで、我に返り、瞼を開けた。

私の目の前に、広がるのは、白い天井。


私は……


それ以上、思い出せない。

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