だから私は貴方に騙される 上

慣れてきた生活 /ご挨拶

潮くんと顔を合わせてから1週間。

黒須さんのお家の人に挨拶に行こうと言ってもなかなか挨拶に行けていません。

そんななか、世間はクリスマス一色。

私は12月の勤務がクリスマスイブ、クリスマスと夜勤でした。
どうせ独り者だから良いんだけれど。

それはさておき、今とっても重大なことが起きています。

「あー奥に入っちゃったかぁ………あぁどうしよ、整備士さんとかに頼もうかな……でももう夜だもんなぁ」

黒須さんが車の前で腕組みをして悩んでます。


「自分で出てきてくれたら良いけど………それにしてもはるこちゃん、よく猫がいるって気がついたね」

「昨日の晩から鳴いてて、でもお母さん来ないし……」

「子猫、エンジンルームに入るっていうからなぁ」


そう、黒須さんの車のエンジンルームに子猫が入ってしまったのです。

最近はとっても寒くなっていたから猫ちゃんも暖を取りたかったんでしょう。

エンジンルームは人目がないしちょうど良く暗いしで猫ちゃんが好むんだとか。

でも車が動き出したら巻き込まれて………。

ボンネットを叩いたりしたものの全く。

本当は野良猫だとか、飼えないなら放っておく方がいいとか言われるけれどでもエンジンルームだし。

出てくるかもしれないけど、でも。

「どうしましょう……」

「でも出さないと………どっちみちこの寒さじゃ死んじゃうよ。昨日の晩からなら尚更だよ」

とりあえずエンジンルームを開けっ放しにして勝手に出てくるのを待っています。

でも怖がっちゃって出てきません。

「お尻から引っ張り出すかしかないかな……」

「車の下から手を突っ込んでですか?」

「届く位置にいれば良いんだけど……ただ子猫が入れる程度の幅だからなぁ」

黒須さんが自分の腕を確認して「入るかなぁ」と不安な顔をしました。

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