だから私は貴方に騙される 上

私の周りのこと /黒須さんのこと



珠江ちゃん、黒須さん共にお互いが良い人だねって言ってくれた日クリスマスから日にちが経ちました。

そして、とうとう今日は新年。
大晦日が夜勤入り、元旦が夜勤明けと年越しを職場で過ごした私。


「鍵鍵………」

ようやく玄関に辿り着いてリュックから鍵を取り出しました。

しかし、家に帰っても黒須さんはいないだろうなぁ。
やっぱり365日24時間出動の職種はどうにもこうにもお正月感がないです。

そんなことを考えながら鍵穴に鍵を差してみました。

「ん?」

なんか、いつもと違う鍵穴の手応え。

開ける時は確かこっちに回していたけど、なんか違う。

っていうかそれって。

「空いてるのか⁉︎」

鍵を鍵穴から出して、ドアノブを引っ張ってみました。

案の定、あっさりと開いた扉。

それに対して一気に肝が冷えてしまう。何故なら、私が知ってる限りでは夜勤に行く時に最後に鍵を閉めたのが私だから。

と、いうかそもそも鍵が掛かったのを確認したかどうか………。
もしや、丸一日近く玄関が開きっぱなしだったんじゃない⁉︎

かなりヤバイ状態に、慌てて部屋の中を見ようと靴を脱ごうとしました。

そのとき、盛大に玄関に置いてあった靴を蹴飛ばしてしまいました。

その蹴飛ばしてしまった靴は黒須さんのもの。

「わぁ……黒須さんのお気に入りなのに……汚れとか付いてないよね………」

お気に入りのオールドバランスのスニーカー。

疲れてる時こそ、このクッション性が有難いって話していましたね。
だからいつも職場に履いてく靴。

そう、いつも履いてく靴………。

………………

「ん?」

私が蹴飛ばしてしまったのは黒須さんのいつも履いてくお気に入りの靴。

そして開いている玄関。

………それってつまり?

つまりっていうか、普通に考えたらすごくホッとしました。

「……なんだ、黒須さん帰ってきてるのかぁ」

いつも玄関は閉める黒須さんが閉め忘れていただけなんですね。

なんだ、なんだ。

私が掛け忘れたわけじゃないのか。

ホッとしながらゆっくりと靴を脱いで、私と黒須さんの靴を綺麗に揃えてリビングに向かいました。

黒須さんが起きていたら、「あけましておめでとうございます」って言わなくちゃね。

寝ていたらまた後にして。

そう考えながらリビングの扉を開けました。




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