だから私は貴方に騙される 上

あり得ない出会い /新しいお家


大通りを抜けて少し細い道に入ると、住宅地に入っていった。

可愛らしい一軒家が建ち並んでいて、その中を車を走らせる。

そうしていたら一軒家じゃない建物が見えてきた。

「家、あのアパート」

一軒家じゃない建物、アパートを指差された。建物の前にはコンクリートに書かれた白い数字、駐車場があった。
周りの一軒家と似たような色の可愛らしいアパート。

そのアパートに近づいて、3という駐車場に車を停めた。


「はい、着いたよ」

「………ありがとうございます」

助手席から降りた。

黒須さんは私の少ない荷物を車の2列目から引っ張り出して、カバンから何かの鍵を出した。

「おいで」

左手に私の荷物。右手に何かの鍵。何かの鍵っていうか、多分家の鍵。

黒須さんの背中の後について、私はアパートの建物に足を入れた。

「うちは105号室ね。お隣は誰もいないから」

「はい……」

「開いたよ」

鍵を抜いて、ドアを開いてくれた。

「男の一人暮らしだから臭ったらごめんね」

「いえ……お邪魔します……」

私のボロボロの靴に似合わない綺麗なお家。
玄関には靴を収納するクローゼットみたいなのに、黒い傘とコンビニのビニール傘の2本が入った傘立て。

「真っ直ぐいったらリビングだから、そこに入って」

「……わかりました」

靴を脱いで、廊下を歩く。そして、リビングと廊下を隔てるドアを開けた。


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