だから私は貴方に騙される 上

あり得ない出会い /新しい生活

黒須さんのお家に住まわせて貰うことになって1週間。

私の部屋の家具もやってきて、さらに私の食器もやってきた。

「ーーー空が……明かるい」

現在時刻は午前6時12分。
あと15分くらいしたらお家を出なければいけません。

なぜなら早番だから。

午前7時30分からの8時間勤務。

だから今日は5時30分に起きて用意して家を出なきゃいけない。

「………凄いいつも4時30分に起きてたのに」

ボロアパートの時は最寄り駅までの道のりが長くって、さらに電車は普通しか止まらなかったから極端に早い電車に乗っていました。
そのため早く起きなきゃいけなかったのです。

4時30分なんて夏だろうが冬だろうが外は暗い。

だから空が明かるいのがとっても嬉しい。
まぁまだ残暑の厳しい9月だからですけど。

「すごい、いっぱい寝ちゃった」

7時に施設に着こうと思ったら前は1時間半かかっていたのに、ここは家から最寄り駅までと駅から施設までを入れても30分くらいしかかからない。

乗り換えなんてないし、二駅目。

………幸せです。

「しかも今日、お弁当も作っちゃった」

昨日の残りを詰めただけだけど、ぐっすりとしっかり寝れたおかげで寝ボケることなく作れた。

これが桃源郷ってものなのかなぁ。




前が早過ぎたからか、家を出る時間がこんなにも違うから起きる時間を間違えたんじゃないかと思っちゃった。

「一息がつけるって最高……」

カーテンだってゆっくり開けれる。
ベッドだって綺麗にできる。
髪の毛だっていつもより、ゆっくり結べる。
服は………数えるほどしかないからあんまり変わらないけど。

焦らないことがこんなにも楽だなんて。

今まではお金もない、時間もないでお化粧だってしたことなかったけどこれからは少しくらいできるのかな。

黒須さんのいないベッドを見ながら寝癖一つないポニーテールを撫でた。

1日が良い形で始まることは何よりも嬉しいです。





ーーーそれから私は駅に向かい、電車に乗って、降りて職場へ。

今日は午前、午後ともに記録の業務。

1日を通して私の働くフロア内の利用者様のことを記録に残す。

そしてそれを伝達する業務。

特に身体は使わないけど、パソコンと睨めっこ状態の仕事。
嫌でも眠くなってしまうから前は嫌だったけど。

今日は大丈夫な気がする。

「おー今日は頬っぺた抓らなくていいの?はるこちゃん」

「はい!大丈夫です!」

眠くなったら集中力が切れるから、仲の良い職員さんに頬っぺたを抓ってもらっていたのです。

でも今日はお断りしても良いくらい目が覚めてます。

「えー大丈夫なの?……でも、寝たりなんかしたら指導寮母である私が許さないからね!まぁはるこちゃんは寝たことないけど」

「今日は自力で頑張ってみます」

ぐっすり、たっぷり寝たんだもん。

きっと今日は大丈夫。







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