HEAVEN'S KISS Ⅰ【完】

BreakKiss /昴side


タクシーの中に、真奈美の泣き声だけが響いていた。


握った小さな手は、ずっと震えたまま…




真奈美が、潤んだ瞳でオレを見上げてきた時。


視界の隅で、遼が美緒の腕を掴んで引き寄せるのが見えた。


広い胸に抱き締めて、美緒がオレと真奈美を見ないように、その腕で隠していた。


遼だったらいつかのオレみたいに、美緒を傷つけて泣かすなんてこと絶対にしないだろうって。


あんな風にギュッと抱き締め、守るように想っているんだって。


そう思ったら、オレは迷わず遼の元へと歩き出していた。


漆黒の瞳でジッとオレに視線を向ける遼の腕の中から、美緒の体を引き離した。


そして驚く美緒を抱き寄せ、唇を重ねた。


少しだけ乱暴になったのは、


美緒のことを深く想う遼に嫉妬したから。

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