LOVE&BEAT

KISS /里緒loves


煌びやかな夜の街を、あてもなく彷徨っていた。


部屋着に靴下そして泣き腫らした瞳に、すれ違う人が驚いて振り返る。


でも今のあたしには、そんなこと気にしている余裕も感情も何も残っていなかった。


ただ、遠くへ行ってしまいたい。


巧希もお姉ちゃんもいないどこかへ。


その一心で、家を飛び出してきたんだから。


喉が渇いて目を覚ましたあたしが、リビングで見たもの。


それは薄闇の中、ソファで抱き合っていた2人の姿だった。


立ち尽くす目の前で、重なった唇。


それはあたしにしてくれたものじゃない、長いキス。


…違う、あれは寝惚けた巧希がお姉ちゃんと間違えてしただけだった。


あたしはただの代わり。


いくら想っても、お姉ちゃんにはなれない。

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