LOVE&BEAT

SLOW /里緒loves


「出来たっ!」


シャーペンを置き教科書とノートを閉じて、あたしは床にゴロンと体を投げ出した。


「お疲れ~」


そんなあたしの頭の上から、のんびりとした声が降ってくる。


事実、全ての課題を夏休み開始1週間でやり終えてしまった茉莉には、焦る理由がない。


半べそで問題を解いてる隣で、ジャスミンティーを飲みながら優雅に読書なんかしてたしね。


2日前から雨宮家にお泊りさせてもらってるあたしは、部屋着にボサ髪のまま目の下にうっすらとクマなんか浮かばせてひどい有様だった。


右手なんて、まだ麻痺してるし。


今まで玲のマンションで甘やかされていたもんだから、ハッキリ言って地獄の日々だった。


だけど寝かせてくれない鬼監督のおかげで、気持ちのいい新学期が迎えられそう。


寝転がったまま開放感に浸っていたあたしに、やけに明るい声が聞こえた。


「よし、じゃあ次は数学いこうか」


「……」


鬼だ……

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