LOVE&BEAT

CALL /里緒loves


人気のない路地裏に、頼りない靴音だけが寂しく響く。


そしてあっという間に辿り着いてしまったお店の前で、大きく深呼吸をした。


それでも、緊張しすぎて指先の震えがなかなかおさまってくれない上に、せっかくここまできたのにやっぱり帰ろうかなんて後ろ向きな気持ちばかりが溢れ出す。


だけど…


“大丈夫だ”


耳に残る、背中を押してくれた言葉を思い出し、1歩踏み出そうとした時。


「待ってたよ、お嬢さん」


ドアが開いて中から顔をのぞかせたその人に、目を見開いた。


金色に近い髪と、ステージに立っている時とは違う悪戯な瞳。


「あいつ上にいるから」


そう言って差し出された手に、あたしは再び驚いた。


「大和くん、どうして…?」


まるで、あたしがここに来ることを知っていたみたいな口調。


呆然と見上げてるあたしの手を引き、お店の階段を上りながら教えてくれた。


「さっき電話あった」


誰から?なんて、聞かなくてもわかる。


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