LOVE&BEAT

CALL /里緒loves


「あ…っ」


生温い空気に混じる様に、切ない声が口から零れる。


恥ずかしくて思わず口元を覆うと、「ダメ」と掴まれた手首は顔の横に戻された。


肌を滑る巧希の手は火傷しそうなくらい熱く、腕を回した広い背中は軽く汗ばんでいる。


ぴったりと重なった体のせいで熱は上がりっぱなしなのに、震えはずっと止まらなかった。


まるで、全てが暴かれてしまうようなこの行為のせいじゃない。


また1人になるのが怖い。


今はこんなにそばで感じてる温もりを手放さなければならないことが、たまらなく悲しかった。


今だけ。


そう言い聞かせても、こんな風に触れられたら心がもっとと求めてしまう。


嬉しくて、このままずっとと願ってしまう。


「こう…き…っ」


乱れる呼吸の合間に名前を呼ぶと、大きな手がふいに頬を撫でた。


「目開けろ」


耳元で囁かれ戸惑いながらも固く閉じていた瞼を開くと、薄闇の中で巧希の瞳が真っ直ぐにあたしを見下ろしていた。


そして、まるで大事なものにするような優しいキスをされ、


「里緒」


切ない声で名前を呼ばれた時、あたしの瞳から涙が零れた。


巧希との初めてのキスは、お姉ちゃんの代わりだった。


だけど、今は間違いなんかじゃない。

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