LOVE&BEAT

EPILOGUE


―…


ゆっくりと目を開けたあたしは、ドアの向こうから聴こえてくる音に耳を傾けた。


優しくて、温かくて、泣きたくなるくらい幸せな夢を見ていたあたしは、目が覚める前からそのメロディに気付いていた。


ふんわりと包み込まれるような優しい旋律。


悲しい音は、もう2度と聴こえない。


ふいに音が止み近付いてくる足音に、あたしは再びシーツの中に潜り込んで息を潜めた。


ドアが開いて部屋を横切る気配がして、やがてベッドが沈む。


そして、寝た振りのあたしを抱き寄せる温かい腕。


優しく髪を梳かれ、穏やかな幸せに笑みを零しながら囁く。


「おはよう」


「おはよ、起こしたか?」


「ううん…」


腕を回し、広い胸に耳を押し当てると、


トクントクン…


聞こえてくる心臓の音。


この先もしも不安になるようなことがあっても、この音を思い出そう。


この音だけを、聴いていよう。


だからどんな小さな心の声も、全部聴かせて―…


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