幼い頃から人魚に焦がれる灰色の騎士と海で生まれた人魚の末姫の物語――新訳人魚姫






蒼い、蒼い、海の底。


そこで貴女は生まれ、




青い、青い、空の下。


そこで俺は生まれた。






貴女が蒼い海を出て、


青い空の下に生まれても、




貴女は姫で、俺は騎士。


触れることさえ、出来やしない。






ああ、姫。


人魚の姫君。





貴女が空の青となるのなら、


俺は海の蒼となろう。





新訳『人魚姫』