ホワイトデーには甘酸っぱいキスを 【完】

バレンタイン編 /木曜日







次の日、教室に入ると佐伯と目があった。



「おはよう、神崎。」


「おはよ。」




俺は鞄を机の横に掛けて、腰掛ける。





「ちゃんと今日告れよ、落合さんに。」


「そうだな。でもちょっと不安かも。」


「心配しなくても、大丈夫って言ってんだよ。俺が保証するんだからさ。」


「保証、ね。」






何だよ、その返事。



大丈夫に決まってんだろ。


2人は両思いなんだからさ。





俺はズボンのポケットからスマホを取り出して眺めた。

適当にネットニュースを見ると、明日がバレンタインのせいか、バレンタイン特集の記事ばかりで、ちょっとテンションが下がる。


佐伯はきっと落合さんからチョコ貰うんだろうな。


いいな。


俺も落合さんからチョコ欲しいよ。





しばらくすると、落合さんが宇野さんと一緒にやって来た。


明らかに負のオーラ満載で、テンション低い事が伝わってくる。


何だ、そのテンション。


佐伯と両思いなのに、何でそんなに元気ないんだよ。






「おはよう、落合さん。」




にっこりと微笑んで佐伯は落合さんに声をかける。



「おはよう。」



落合さんは小さく返事をして、席に着く。


そして、机に右頬を付けて窓の方に顔を向けながら、ブレザーのポケットからスマホを取り出した。



何だよ。

どうしたんだ?




さっきから、はぁとため息が何回も聞こえてくる。



ちらっと佐伯を見ると、少し心配そうな顔を浮かべながら、落合さんの頭をポンポンと撫でる。


驚いた落合さんは顔を上げた。


いつもなら、佐伯に頭を撫でられると赤くなるくせに、今日は赤くならない。


どうしたんだよ。

今日の落合さん、何か変だよ。




「落合さん、今日元気ないね。どうしたの?」


「え、ああ、いや、そんな事ないよ。元気だよ!」





どう見ても作り笑いだろって思う笑顔を浮かべながら、落合さんはガッツポーズをする。




「何それ!」



ぶはっと吹き出して笑う佐伯。


危ねぇ。

俺も笑いそうになったじゃん!!


ほんと変だよ、落合さん。


普段そんな事しないのに。




「いや、佐伯くん、笑いすぎだってば。」




ケラケラとお腹を抱えて笑う佐伯に、少しむっとした顔をする落合さん。

ほんと、佐伯笑いすぎだよ。


ふいに落合さんと目が合った。



俺は咄嗟にそらして、右手で握っているスマホをいじり出す。




こっち見るなよ。



ああ、見てたのは俺か。



こんなんじゃダメだな。



落合さんを見ないようにしなきゃ。



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