ホワイトデーには甘酸っぱいキスを 【完】

ホワイトデー編 /神崎side







落合さんは俺を食い入るように見つめる。





俺が初めて落合さんを見た日。


初めて話した日。




初めて、こんなに好きだって思える人に出会った日。







思い出してよ。



あの日の事。





俺と初めて会った、入学式の日の事。







「覚えてる?」





落合さんはまだ黙ったまま。



俺は手を伸ばして、優しく落合さんの頭を撫でた。





「あの人、神崎くんだったんだ。」


「そうだよ。」





実は俺、入学式の日だけ黒髪だったんだよな。

制服もちゃんと着てたし。



次の日には今の髪色になってたから、黒髪の俺を知ってるのは多分佐伯ぐらいだと思う。


落合さんも、全然気付いてなかったしね。


俺、落合さんの後ろの席だったけどな。





「なんだ。じゃあ私、最初からずっと神崎くんの事、好きだったのかもしれない。」


「え?」






落合さんは俺の顔を見上げながら、少し恥ずかしそうに笑う。


どういう意味?



だって落合さん、全然気付いてなかったじゃん。



俺はよく覚えてたけどさ。






「私、あの時、凄くドキドキした。触れられる度に、心臓が壊れたみたいに波打って。あんなの初めてで、それがどういうことなのか気付かなかった。」





俺に、ドキドキしてくれてたんだ。


落合さん、顔真っ赤になってたもんな。


それが可愛くて、思わず俺笑っちゃったんだ。






「ここで初めて神崎くんと会った日から、私は神崎くんに恋してたんだよ。」




嘘だよ。


だって、佐伯が好きだったじゃん。





「佐伯くんとは違う胸の高鳴り。入学式の日と放課後、神崎くんと会った時の私の気持ちは同じ感覚だった。だから私、神崎くんと喋るようになってすぐ、好きになったんだ。」





何か、落合さんが珍しく難しい事を言ってて、理解が出来ない。

俺、頭良いのに。


落合さんの日本語が理解が出来ないよ。




「ごめん、どういう事?」


「・・・バカだね。」


「仕方ないだろ。どういう事なんだよ。」


「つまり、私は佐伯くんの事は好きじゃなかったってことだよ。」






嘘だろ?

そんなわけない。








0
  • しおりをはさむ
  • 15
  • 23
/ 92ページ
このページを編集する