―KINGDOM―

第三章 /三節

不意に、十獅朗先輩に電話したいと思った。

電話したい、というか、話がしたいから電話しようかな、という気持ちが訳もなく沸き上がる。

連絡すると言ったまま、していないことも気にかかっている。

でも、光ちゃんと銀河くんのあれこれに気をとられていて、ここ最近は二人のことばかり考えていたから、忘れていた。

十獅朗先輩は、わたしを思い出したりするだろうか。


…………ないか。

自分で考えておいて、想像できなかった。

十獅朗先輩って本当の本当によく分からない。

素っ気ないし命令形だし、何考えてるか分からないし、頭はいいらしい。怖がられてるけど、怖くはない。でも、優しくもない。

優しさを何と捉えるかによるかもしれない。銀河くんの話を聞くと優しい感じもするけど、十獅朗先輩と優しいって単語は対にはならない。

上手く言えないけど、十獅朗先輩は優しくしてるわけじゃなくて、やりたいことをしているだけで、相手がそれをどう取るかで、じゃあ優しいでいいじゃんって話だけど。

でも、十獅朗先輩にはこれっぽっちも優しくしようという気持ちがない。誰かのために何かをしようという気持ちがない。

たぶん、自分のためにやったことが、勝手に人のためになる。それは逆もありきだ。自分のためにやっているから、全く人のためにならないこともある。

0
  • しおりをはさむ
  • 631
  • 1210
/ 497ページ
このページを編集する