―KINGDOM―

第六章 /一節




それから数日。十獅朗先輩からの音沙汰無し。わたしからも連絡していない。

だって、何を連絡すればいいか分からない!

ということで、後回しだ。考える、というか思考がぐるぐるしているのはいつものことだけど、十獅朗先輩の家での出来事を思い出してはぐるぐるする。


十獅朗先輩の家から帰って、今一番、ちゃんと整理できていることといえば、おじいちゃんのことだったから。率直に聞いてみた。でも、にこにこ笑ったおじいちゃんはとても手強かった。

『顧問弁護士だった』

それだけはすんなりと話してくれたけど、それ以上のことは聞けなかった。でも、顧問弁護士だったというだけで察せることはたくさんあった。

わたし以外の家族のおじいちゃんへの畏怖。距離感。言葉遣い。同居しない理由。おじいちゃんの家には今も色んな人が来るし、おじいちゃんも色んな所に出向くのに、おじいちゃんに弁護士の依頼はなく話題にすらならないこと。違和感があると思っていたことに説明がついた。

だからといって、伯豪さんとおじいちゃんの間に何があったのかまでは察せない。ただ決定的な何かがあって、ふたりの関係は解消された。

知りたい気持ちはあるけど、おじいちゃんが話さなかったように、伯豪さんも語らなかったように、そこには何かがあるから。そこには知られたくない人がいるのかもしれないし知らない方がいいことがあるのかもしれない。

だから、今は知らなくてもいいと思えた。

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