―KINGDOM―

第一章 /一節

格好いいなと思った。


それはもう、この高校に通う女子全員が、おそらく男子の半数以上が同じことをその人に思うと思う。

だから、わたしだけが思ったわけじゃないし、わたしのこの感情は恋愛感情では全くなく、憧れ以前の、感想とでもいうべきものだ。


怖いなと思った。


これは、女子とか男子とか性別抜きに、みんながみんな、そう思っていると思う。

近づいたことすらないのに、遠目でも、無機質で鋭い眼光が何を捕らえるのかビクビクする。

見てないようでいて、あの人は見てる。

すごく見てる。何も逃さないように、全てを手に納めるように見ている。

わたしのことなんか、知らないのは当然だと思うのに。学年も違えば、喋ったこともないし、すれ違ったことすらない。

なのに、あの人の目に写るもので、あの人の知らないものなんてない。わたしを一目見て、わたしの名前なんか躊躇もせず答えそうだ。

なんて、思わせる。

というのは勝手にわたしが思っていた印象で、それがどこか怖いと思っていたのだ。だから、


「お前、名前は?」


そう聞かれて、笑ってしまったのは許してほしい。

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