―KINGDOM―

第六章 /二節

「起きろ。」


十獅朗先輩がわたしの腕を掴み引き上げる。先輩も起き上がり、正面に座り直す。

わたしは引き上げられた格好のまま後部座席に横向きに座わり、正面の十獅朗先輩をボーッと見ていた。

綺麗な横顔に見とれる。離れてしまった距離に胸がざわりとざわめく。

艶のある黒髪、形のいい目、鋭い眼光、高い鼻筋、薄い唇、シャープな顎、色っぽい喉仏………

この人は本当にさっきまでわたしと触れ合っていたんだろうか。そして、次があると言ったのは、本当にこの人なのか。

本当に隣に存在するのかどうか、確かめなくては落ち着かない衝動に駆られる。

ほとんど無意識に伸ばした手は十獅朗先輩の手によって、触れる前に阻まれた。


「なんだ。」

「え、………?あ、」


捕まれた手を咄嗟に引っ込めようと自分の方へ引くけど、ビクともしなかった。


「物足りねえのか?」


十獅朗先輩はそれはもう楽しげに言う。

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