甘い甘いさくらんぼ【連載中】


ーーチン

到着したことを知らせる音がなって、ガコンと音を立てながら扉が開く。

そこをまた左に曲がって、奥から3番目の黒い扉。

803と書かれたその場所のインターホンを押す前に、小さく深呼吸した。


なんとなく、ここを押すには心構えがいるのだ。


中にいるのは、堪らなく好きな女。

いつまで経っても緊張してる自分がバカみたいだけど、どうしようもないと諦めた。


そして、指にグッと力を込めると、ピンポーンと小さく音がなる。

次いで中から、パタパタと走る音。


前来たときも、ピンポン鳴ったらいきなり出るんじゃなくて誰が来たのか確認しろって注意したはずなんだけどな。

覗き穴からじゃなくても、このインターホンは映像が送られてるタイプのものなのに。


ホント学習しねぇ女。


そうしてーー…


「龍っ」

そいつはガキみたいな弾んだ声をだして、勢いよくドアを開けた。


「笑美。またいきなりドアあけたな」

俺が言うと、笑美はあちゃーといいながら舌を出して笑う。


別に可愛いとか思ってない。

断じて思ってない。

バカっぽい顔だと思って眺めただけだ。



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