甘い甘いさくらんぼ【連載中】

第1章 /なんでこんな奴が良いんだろうな

その結果が、この有様だ。

毎週毎週笑美の家に通い続け、ニコニコと寄ってくる笑美に想いを募らせながら、時折調子にのるなとばかりに突き落とされる。


笑美と出会って一年近く経とうとしているのに、手に入れた地位は家政婦(夫)といっても過言ではない。


「はぁー…」

誰もいない部屋で大きなため息をこぼす。


それでも次の土曜日も笑美の家に通うのだろう。

午前中に笑美の家に行って、片付けて、昼飯だけ一緒に食いに行って、午後から片付けて、早く終わったら夜は二人でまったりする。


それだけのために、それだけのことがしたくて、また会いに行くのだろう。


…ーー〜♩

着信音が鳴って、携帯を手に取る。

画面をタップすると3月18日月曜日と表示されていた。


大学はとっくに春休みで、家でだらだらするか悠二たちと遊ぶかバイトするかの三択だから、どうも日付と曜日の感覚を失ってしまう。


それでも、毎週土曜日だけはなぜかわかるんだから、都合のいい頭だよな。


「もしもし」

『あ、龍ー?ひま?』

そんなことを考えながら電話にでると、悠二だった。


「あーうん、なに?」

『今から朔弥たちと飯くる?』

「ああー。ん、いく」

『じゃあ大学の近くの美濃路な』

「ん」

要件だけの電話を切ると、一度凝り固まった首をゴキゴキ鳴らしながら立ち上がった。



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