アナタの羽ばたきが世界を救う。

屋烏之愛 /エッチしたいんですか?

3時限目、私は保健室で過ごす事になった
泣き止まなかった私を夏蓮が心配して保健室に連れてきてくれた
夏蓮は本当に優しい
でもベッドで横になって、目を閉じてもまだ溢れる涙は止まらない
「名前の通り、よく泣きますね」
いつの間にか、隣のベッドに同じクラスの菖蒲綾女(しょうぶ あやめ)が居る
あのボーイッシュな子、あんまり話した事はないんだけど、変わった子って事は知ってた
…………変な噂がある
「……よく言われる」
私はちょっと不機嫌な顔をしながら菖蒲さんを見る
「あー私は、月のが酷くて……あはは」
そう言いながら菖蒲さんは、私の目を見る
「いいですね、男の子との悩み。私にはよくわからないけど……あぁー盗み聞きするつもりじゃなかったんだけど、結構大きな声で話してたから」
「そう……菖蒲さんは好きな人とか居ないの?」
すると菖蒲さんは私から目を反らし、宙をみあげる
「うーん、私は男の子も女の子も好きですよ。もしかしたら皆が言う好きとは違うかもしれないですけど」
菖蒲さんの噂
男でも女でも誰とでも……エッチするっていう噂
男子達が話しているの………聞いた事がある
「どういう事?」
「愛してるって意味です。みんな愛してます。この世界の人々……みんな」
「愛してるって…………それって好きだって事でしょ?」
「違いますよ」
菖蒲さんは宙を見たまま微笑む
そして……
「エッチ…………したいんですか?甲塚くんと」
「えーーー???」
突拍子もなく菖蒲さんは、なんて事をいうの!?
「私まだ今年で16だよ!!?そんな事、早いっていうか」
私は動揺を隠せない
「16は結婚できる年です」
「そうだけど」
「好きなら、やってしまえばいいのに」
私はあなたみたいに、軽くない、誰とでもいいわけじゃない!!そういう関係になるのは………
「そんなの、それこそ愛し合って初めて身体を許さないと」
そうそれが当たり前の感覚だよ
菖蒲さんはこんなにボーイッシュなのに、けっこう遊んでるって噂は本当だった
「愛してたらセックスなんて、必要ないです」
「えっ?」
好きならエッチして、愛してたら必要ない??
「これを言うと「だから菖蒲は男の感覚なんだ」って言われるけど………エッチに愛は必要ないです」
だからって誰とでもエッチしていいとは限らないでしょ?
「そんなわけないでしょ、愛し合ってるから……………エッチして………………子供を作って」
「子供を作らないと愛してるって言わないんですか?エッチをするのが愛の証明ですか?世の中には子供が欲しくても出来ない人もいます。愛が無いって言うんですか?」
「そんな事、私がわかるわけ」
そんなの論点のすげ替えだよ。菖蒲さんが、どう感覚でいるかわからない
「恋と愛は違うんです。エッチには恋が必要です、その行為の理由として。恋にはエッチが必要です、お互いの気持ちを繋ぎ止める方法として」
菖蒲さんは宙を見るのを止め、私の目をまた覗き込む
「でも、愛にはエッチも恋も必要ないんです。恋をしなくても愛してあげられます、エッチをしなくても愛を確かめられます」
「菖蒲さんが何言ってるか分からないよ」
誰とでもすぐエッチしちゃうのは、あなたでしょ!?
「泪、あなたは甲塚くんを愛してますか?恋してますか?」
「えっ…………どういう意味……」
「自分で考えてください、甲塚陽介とあなたはどうなりたいのですか?」
「どうって!?そんな事、菖蒲さんに関係ないでしょ」
「……関係大有りです」
菖蒲さんも陽介くんの事が………好き??
それとも、まさか私の事?????
「私は………世界の皆を愛していますから」
どういう意味かまったく解らない
「泪、愛が解れば、あなたは変わります」
そう言ってベッドから降りる菖蒲さん
「せんせーい、大分良くなったんで教室に戻りまーす」
菖蒲さんは元気よくそう言うと保健室から出ていく

陽介くんを愛してるか、恋してるか
なんで誰とでも身体を許す菖蒲さんが言うのかわからない
なんでそんな事、気になるの?
私から陽介くんを奪うつもり?
それとも私が陽介くんを奪うと思ってる!?

もしかして陽介くんと………もう………そういう関係なの

………私は………陽介くんを…………

…………愛してるって思いたい

陽介くんにも、愛してもらいたい
喧嘩をしたままじゃダメだ
仲直りしなきゃ

前に進まなきゃ

私は陽介くんが…………欲しい

  • しおりをはさむ
  • 5
  • 0
/ 126ページ
このページを編集する