アナタの羽ばたきが世界を救う。

アナタの羽ばたきは世界を救う。本章 /最後のチャンスへ

屋上では、警察が来て面倒になると弓道場に移動して綾女は今までの経緯を葉子に話した
しゃがみこみ、何度かパトカーのサイレンや人の気配を察知して話は中断したものの、これまでの経緯を綾女は淡々話す
綾女の話を聞いた葉子は、すぐに受け入れる事は出来なかった
未来から世界を救う為に来たんだと言われても、酷い妄想だと普通は思う
相手にしないだろう
しかし、いつもの綾女の言動、そして何より自分にしか見えない蘭と言う妖狐と生活を共にしている葉子は、真実を言っているのかもしれないと、頭のどこかで考える
「信じられないですよね、やっぱり」
綾女はそう言うと、携帯電話を取り出し、誰かにかける
「あっ崇の携帯ですか?」
崇、たぶん同じクラスの緑山崇の事だろう
「……そうですけど………あぁ……えぇ………陽介が……死にました………わかりません……で、警察は殺人事件で捜査してます」
葉子は不思議だった
今、甲塚陽介の死体は発見されたはずだ
殺人事件で捜査しているなんて、綾女が知り得るはずがない
「なんで……知ってるんですか?落ちたこと…………………そうですか。夏蓮も一緒に見ましたか?……………夏蓮は屋上に居ましたけど、陽介は屋上には居ませんでした………………可能性は無いとは言えませんけど、無理なんですよ。話しにくいんですけど、陽介の首が切り落とされていました。屋上に居た夏蓮には無理です」
まさか、綾女は死体を直接見ていないのに、なんでそんな事がわかる?
葉子はじっと綾女を見る
「……陽介と夏蓮以外には見ていないんですね……本当ですね………大丈夫ですよ崇。呪いなんてありません。崇がどんなに呪っても、陽介の死には関係ありませんよ…………はい。強いて言うなら、呪いではなくて、運命ですかね。だから警察にはちゃんと協力してくださいね。呪いの事まで言う必要ないですけど」
綾女はそう言って電話を切る
「今ので信じてもらえました?」
「今言った事、これからの捜査状況って事?」
「はい」
「甲塚くん、首が切り落とされていたって言うのは?」
「落下の衝撃と銅像の構造で、陽介の首は落ちています。でも今は見つかってないはずです、これからの調査になりますけど、第一発見者の泪が首を持ち帰っています」
「なんでそんな事」
「理由は泪にもわかっていません。咄嗟にそうしちゃったって事です」
「なるほど」
葉子は綾女の目をじっと見る
いつもの掴み所の無い綾女とは違い、芯を感じる
これが本当の菖蒲綾女……アリス・ディアスなんだ
「綾女さん、これからどうするの?綾女さんが言ってる事が本当なら、また過去に戻って甲塚くんが死なない方法を考えるの?」
「そのつもりなんですけど、たぶん皆と高校生で居られるのは次で最後だと思うんです」
「まぁ……ね」
背は大きくはないが、見た目にもう高校生とは言えない位、大人のボディラインをしている綾女を見て、葉子は自然と自分と比べてしまう
「葉子、陽介がなんで死んでしまうか、理由わかりませんか?もうこの世界の、この時代で育っていない私では、想像出来ないかもしれない」
葉子は一理あると思った
経験していない事を、想像すると言うのは難しい
人の感情なら尚更だ
同じ言葉でも、言っている人、聞いた人で捉え方は変わってしまうからだ

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