アナタの羽ばたきが世界を救う。

落花流水 /突然の告白

「カワイイよな……眞藤」
陽介がそれを見ながら、私に言う
「でしょ、ほっとけないよね」
陽介も泪のあの小動物のような可愛さを理解出来るもんなんだ
陽介は中学生の時に、少し荒れていた
不良の一歩手前みたいな感じかな
でも去年の夏に今私達が通ってる弓備城高校に行きたいって言って、私も協力して一緒に勉強したんだ
「そう言えば陽介、図書館でお目当ての本は見つかったの?」
歩きだし、陽介に聞いてみる
陽介が弓備城高校を選んだ理由は、弓備城(くびじょう)に隣接して、県でも最大級を郷土資料を誇る学校の図書館を利用したいからだったはず
「まだ見つかってないけど、今は成富陸奥護郎の伝記読んでる」
成富陸奥護郎と言うのは、私達の学校の始まりでもある弓兵の鍛練に使っていた稽古場の主で、弓だけで城を守ったとかなんとか、妖怪を退治したっていう昔話があるくらい、この辺りじゃ有名な人物
「凄い人だよ、仕えるべき武将死んでも、その家に血を絶やさない為に戦い続けたんだ……誰かの為に……命をかけて」
「そうね、でも昔の家来ってそういうもんじゃないの?」
私は歴史に詳しくないので、よくはわからない
「あのさ、花屋敷」
「ん?」
「運命ってさ……やっぱりあるのかな」
「………どうだろうね」
陽介のお母さんは陽介を生んですぐに死んだと聞いてる
詳しくは聞いていないんだけど、誰かの為って、陽介と重ねてるのかな
陽介から運命と聞くと、陽介が不幸を背負っているかの様に感じてしまって、私は言葉を濁した
「あのさ……眞藤なんだけど」
「ん?泪??」
「うん………彼氏とか居るのか?」
なんだ、そっちの心配か
運命とか言うから、生き死にの話かと思ったじゃない
あっ中学校の先生と出来てたって噂を確かめたがってるのかな
私の知る限りでは、連絡もしてないし、未練があるような言葉は聞いたことは無い、勉強を教えるのがうまい良い先生とは聞いてるけど
「意外と年上が好みなのかもよー」
もし噂が知りたいんだったら、真相を確かめにくるはず
「そうなのか?部活の先輩とか??」
あれ?なんか反応が違うなぁ
「泪は何にも部活入ってないよ」
「じゃあ、いつ出会うんだよ。ナンパとかついていくタイプじゃないだろ?」
「ちょっと待って、陽介なにが知りたいの?」
「だから……彼氏が……」
「いないよ。泪に彼氏は、で?何が言いたいの?」
「眞藤、俺の事…なんか言ってたか!?」
「はぁ?」
それって
それって?
それって!!?
「泪に気があるって事??」

トクン
耳元で心臓が鳴る

「いや……うーん………」

トクン
また鳴った

「お前以外に相談……出来ないだろ」
そりゃそうね
幼馴染みで、大概の事は知ってる同士
小学校の頃、お互いに好きな人も知ってた

トクン

そうか、陽介は泪の事、気になってるんだ

トクン

あの小動物みたいな可愛さ、誰でも好きになっちゃうよね

トクン

私も泪の事、好きだもん

トクン

二人が付き合ったら、どうなるんだろ

トクン

私は……?

トクン

トクン

トクン

トクン

「仕方がないわね、柄じゃないけど幼馴染みの恋のキューピット役、引き受けようか?」

トクン

ねぇ、陽介
否定して
そういうんじゃないって
友達として、気になってるだけだって

トクン

バクン

バク

バクッ
バクッ

「お願い出来るか?正直、気になってる」

パチン
何かが破裂する音が、私の耳元で炸裂する

「うん、いいよ。でも私は泪の味方だからね」
「えっ」
「そりゃあ、そうでしょ 。幼馴染みで色々知ってるんだもん、親友を泣かせる訳にはいかないじゃない」
そう、泪が陽介を好きだとは限らないんだから
「わかったよ……約束だぞ」
「泪に気がなかったら諦めなさいよー」
「えっ!?手を貸してくれないのかよ」
「それは陽介の努力でしょ、私、陽介の男としての魅力って全然わからないもん」
「全然、キューピットじゃねーじゃん」
「まぁー任せなさい。二人の間は私が取り持ってやるって」
なんだろう
心からそう思っているはずなのに
私が焼きもちを焼く必要なんてないのに
なんでだろう
なんでだろう
さっきまであんなに楽しかったのに

小テストは頭の整理がつかなくても解ける簡単なテストだった
だからこそ、他の考えでの抑圧になりえない
ずっと頭の中で、迷路にでも迷ったようにグルグルと同じ考えが巡る

陽介が泪の事を好き?
なんでそれが気に入らないの?……私
泪はどう思ってるの?……陽介の事
私は……どうすればいいの?
もし、二人が両思いだったら……

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