アナタの羽ばたきが世界を救う。

落花流水 /私の花言葉

2時限目は日本史
日本史はあんまり得意じゃないけど、朝の陽介を思い出す
今は成富陸奥護郎の伝記を読んでいたって
「今日は授業をやめて少し夏休みのイベントを考えてみようと思う」
小野沢先生が街の歴史的スポットを黒板に書き、それぞれの解説をする
この弓備城町には縄文時代から江戸時代まで、各所に観光地がある
昔から栄えていた町なのに、どれもそんなに有名じゃない所がおかしい
陽介が読んでる伝記の成富陸奥護郎だって他の町での認知度は皆無だと思う
成富が支えていた弓備城(くびじょう)だって、もうお城はなくて、公園になっていて公園整備の時に古墳の遺跡が見つかって、今では兜塚公園ってなっている
なんでも頭だけを納めてある古墳が出たとかで、兜塚(かぶとづか)って名前になってて、そんな場所だから幽霊の噂が絶えないとか

「先生のオススメは、弓備城(くびじょう)跡の兜塚公園だな。ちょっとした心霊スポットになってて、夏休みまだ日の浅いカップルで行くならオススメだぞ」
エロい顔で小野沢先生はそう言う
とっさに私は泪を見る
泪は顔を上げ、陽介を見る
なんなの………イライラ
「小野沢先生が不純異性交際をススメてどうするんですか?」
私は出来るだけ明るく、世話を妬くお母さんのようにそう言うとドッと笑いが起こる
「花屋敷、先生は不純な異性交際は認めない………けど、何が不純かは経験しないと解らないだろ?」
「教師が言うことですか?」
遅いでしょ、それじゃあ……それじゃあ泪に取られちゃうんだから
「わかった、花屋敷さん!私と行こうよ」
ボーイッシュな女子が私を誘う
彼女が菖蒲綾女
性的にオープンすぎる女の子
「おい待て待て、それ不純同姓交際狙いだろ」
男子が突っ込むと、またドッとみんなが笑う
みんなが騒ぐ中、私はもう一度泪を見る

泪は一点を見つめている
その先には陽介がいて………

陽介も泪を見つめている

パチン
ピキッ
ブチッ

私の中で、私の殻を破る何かが育っているのがわかる

私は夏蓮
蓮の花言葉は「清らかな心」なんだ
私が一番、純粋に、陽介を…………
あぁ………でももう一人の私がいう
蓮の花言葉は「離れいく愛」って意味もあるでしょ

落花流水のように
相思相愛になる意味と、別離を意味する言葉のように真逆の意味をもつ蓮の名の私の運命は……
「運命ってさ……やっぱりあるのかな」
朝の陽介の言葉を思い出す

いや
運命なんて、私が変えればいい……私は変える

変えてみせる
例え、誰かに恨まれても

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