アナタの羽ばたきが世界を救う。

幽愁暗恨 /呪いの人形

二時限目
日本史の小野沢が教室にはいるなり
「今日は授業をやめて少し夏休みのイベントを考えてみようと思う」
と話始める
「日直、号令はいいぞ。えーと我が校には地元では有名で、全国的にまったく知られてない成富陸奥護郎と所縁があるのは皆知ってるな」
教室のあちこちで、「まぁ」とか「全国では有名じゃないの?」とか声が聞こえる
「五十嵐の家のお寺「天双寺」と尾崎の家の「双弓神社」は古い歴史があって、成富陸奥護郎とも縁のある家……だよな、尾崎、五十嵐」
小野沢が話を振ると、尾崎は何も言わずにうなずき、千早は頭を掻いてる
「そして弓備城(くびじょう)、もちろん成富陸奥護郎の所縁の城だ。で夏休みは自由研究として、みんなに二人以上の班を組んでもらい街の歴史をまとめてもらおうと思う」
千早と剛志に付き合ってもらえば、すぐに終わりそうな課題だな
「例えば…」
弓備城と黒板に書く
「この街はこの漢字で「くびき」って読む、お城の名前は同じ漢字で「くびじょう」。これには伝説があるし、ちゃんとした歴史的な解釈もあるこれらを調べるとか、成富陸奥護郎が九州から弓備城に来た歴史なんてのも面白いと思うぞ」

教室内がざわつく
あれこれ皆話し合っている……けど、菖蒲だけは俺をチラチラと見ている
お前のお望みのエロ画像なんて俺の携帯には入ってないっつうの

呪いの人形、ジャッキー
さっき千早達と話したその人形の画像が俺の携帯の画像フォルダに保存されている

だから………見せることは出来ない

昨日の番組で紹介されてた内容はこうだ


長く子供が出来なかった夫婦に、待望の女の子が出来、夫婦は愛情という愛情をその娘に注いで暮らしていた
5歳の誕生日に買ってあげた人形、それを娘は「ジャッキー」と名付けて何処へ行くにせよ、何をするにせよ、いつも一緒だった

娘が11歳になった時、近所の20代後半の男に殺されてしまう
男はわいせつ目的で、娘を誘拐し抵抗されて……
犯人は発見された娘の遺体に付着していた体液のDNAが決め手となり逮捕されるも、死刑制度の無いその国では、犯人は最大の刑罰「終身刑」の判決が下される

俺にはもちろん子供はいないけど、再現ドラマの夫婦の演技もあって、夫婦の絶望と悲しみが痛いほどわかった

大切な大切な娘がこの世に居なくて、命を奪った……だけじゃない、もてあそんで、欲を満たした犯人がこの世に生きている

考えただけでも、ヘドが出る

母親は娘が遺体で帰ってきたその日から、娘の部屋にあるジャッキーに犯人への恨みを毎日、毎日聞かせ続ける

事件から10年目の娘の誕生日
ジャッキーは忽然と部屋からなくなってしまう

それからさらに10日後
獄中で犯人が謎の死を遂げる
自殺とされたが、自分で首をフォークで掻き斬ったとされているが、その切り口が鋭利でとてもフォークとは思えなかった

さらに10日後
娘の部屋からジャッキーが見つかる
なぜか犯人の血痕を口元につけて…………

ジャッキーの口元についていた血痕は、娘が殺害された犯行時についたと警察は判断したのだが、ジャッキーを毎日のように見ていた母親はそんな血痕無かったと主張した

ジャッキーが犯人を殺したと夫婦は信じた


それから月日が流れてジャッキーは人から人に譲り受けられる
そして持ち主がジャッキーに恨みを聞かせると、その相手が不信な死を遂げていく

呪いの人形と言われたジャッキーは、国の美術館に保存され、一般公開はされていない


………けど

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