アナタの羽ばたきが世界を救う。

幽愁暗恨 /最強の武器

パーーーン

風船が破裂したような、違うな。ドラマで大袈裟な効果音で鞭を打ったような音が教室に響き渡り、雑談していたクラスのみんなが一瞬で会話を止め、静寂が訪れる

「親がどんな思いで俺たちを生んだが本当にお前わかんのかよ!!生んでくれなかったら、俺らは存在してねーんだぞ。ふざけんな!!!」

その静寂の中、雷鳴が轟き、稲妻が落ちるように怒鳴り、乱暴に教室を出ていく甲塚
「陽介!!あんたなんて事するの!!!」
花屋敷が叫ぶ
なんだ?何があった??
子供のように「痛い」と言ってわんわん泣く女子の声
「眞藤さん」
千早が泣いている女子の名前を呼んだと同時に俺は立ち上がり、教室を出る

「甲塚ぁぁ!!!!!」
階段を上がり屋上、俺は女子を泣かしたそいつの名前を呼び、掴みかかる
「なんだよ。緑山………いきなり」
「お前!!!!眞藤さんを殴っただろ」
「だからなんだよ。俺が悪いのか?アイツの言葉が悪いからだろ」
「女だぞ」
「悪い事を言う奴に男も女も関係ない。殴って悪いかよ」
「男が暴力を振るうなんてな!!!」
「じゃあ言葉の暴力はいいのかよ!!人の気も知らないで!!どれだけ傷つくか知ってるのかよ」
「お前が何言われたかなんて関係ない」
「じゃあ口出すんじゃねー!!!」
甲塚を掴んでいた腕をぐいっと持ち上げられ、俺は綺麗な一本背負いを決められてアスファルトに叩きつけられる
「ったく弱小柔道部が……意気がってるんじゃねーよ」
確かに俺は柔道部だ
小学校の時からやってる
でも
でも
ずっと団体戦のレギュラーじゃない
好きなのに勝ったこともない
弱い
確かに弱いさ
でも一緒やってくれる友達が居る

でも
でも
好きな女の子に告白する強さも、守ってあげる強さもない

無力だった

甲塚、お前は強いじゃんか
俺よりもずっと強いし
あいつの近くに居れるじゃんか

なんでだよ
なんで傷つけるんだよ

甲塚が居なくなって、誰も居ない屋上で
俺はゆっくりと涙を流した



涙をぬぐい、トイレで顔を洗う
何度も鏡を覗いては、涙の後が無いか、眼は赤くなってないか、確認をする
「気を入れ直せ、泣くな崇」
そう自分に言い聞かせて、気持ちをリセットし、もう一度鏡を覗く

教室に戻るとすぐにチャイムがなって、3時限目の授業が始まる
甲塚は席にすでに戻ってる
眞藤と花屋敷はいない
なぜか菖蒲も尾崎もいない
まさか二人で!!?

なんてな
さっきの事は考えないように
……考えないように

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