アナタの羽ばたきが世界を救う。

悪人正機 /誰かを救えるなら

6時、起床
僕の朝の日課、まずは日めくりカレンダーをめくる
2000年 7月20日
その日付を見て、僕は気合いを入れる
「よし」
今日は僕の家にとっては特別な意味を持つ日なんだ
お風呂場に行き、頭を剃る
ツルツルの状態
僕は鏡を見て、剃り残しがないか入念にチェック
そして学校の制服に着替えて、家の前の朝の清掃に出掛ける

僕の家は、天双寺というお寺だ
歴史は古く600年くらいの歴史がある
でもどこにでもあるような、街の小さなお寺で、誰でも気軽に入れるし、小学生達は近道として境内を通っていく
ハッキリ言って古いだけで威厳はないんだよね

6時半、そろそろ戻ってご飯を食べる時間だな
「千早、また髪を剃ったの?」
掃除道具を片付けようとすると女の子の声がする
「おはよ、葉子」
僕が笑顔で挨拶すると、葉子は大きくため息をつく
彼女は尾崎 葉子
僕と同じ歳で、いとこだ
道を挟んで向かいにある「双弓神社」の子で、葉子も境内の掃除をしていたみたい
「あのさ、千早の家の宗派には修行もないし、頭を剃る必要もないでしょうが」
「そうなんだけどね……あっ駄洒落じゃないよ?。僧侶とそうを」
「いやいい、わかってる」
「スッキリするんだよ、頭を剃ると」
「そうなんだろうけど」
「今の駄洒落?」
「違うわよ………髪に呪いをかけられるって話、まだ信じてるの?」
「どうだろ、最初はそうだったけど、今じゃ楽だし………それに今日は"あの日"でしょ」
親戚でもあるし、神社の子でもある葉子も、僕らの街の伝説と僕らの家の関係を知っている
"あの日"それは

昔々、弓備城に妖怪が現れた
その妖怪は化けキツネで、弓備城の九将を次々に倒し、その首を食べて妖力を高め、九本の尾を持つキツネとなった
弓備城の主 真藤信好(しんどう のぶよし)は、九尾を封印する為に伝説の成富陸奥護郎の弓を使い九尾を追い込み、今の双弓神社に見事封印に成功した
その封印の監視を天双寺が行っている
そして城には首塚を作って今でもお経をあげている

とまぁ、この辺りでは有名な昔話
たまに成富陸奥護郎が城を守ったって勘違いしてたり
そういう伝え方をしてる事もあるけど、地元の人間、僕らみたいに縁のある家の人間は、ちゃんと伝えなければ!!

事実とはだいぶ違うらしいけどね

その伝説の話の中に自分の家や「陸奥護郎の弓」が出てくるので、僕は子供の時から信じてる

そう今日の"あの日"と言うのは

「うちの神社に九尾のキツネが封印された日……って覚えてる?」
葉子はゲンナリとした表情で僕を見ている
「うん」
僕は自信一杯に返事をするんだけど
「アホくさ…そんな都市伝説信じてるの?」
「えー!!信じてないの!?」
「うちに九尾なんていないし」
「でも双弓神社は稲荷が有名じゃない」
「祀られてるキツネが全部、九尾じゃないでしょ」
「そうなの!?」
「っていうか、まだ今日が何の日か教わってなかったなんて」
とうとう葉子は頭を抱える

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