アナタの羽ばたきが世界を救う。

屋烏之愛 /地獄から天国へ

朝の失敗、そして全然出来なかった小テストに私は頭を抱えていた
もちろん失敗を後悔しているんだけど、それよりも陽介くんがどう思ったのかが気になっていた
だってそうでしょ
きっとバカだって思われちゃってる
私の知る限り、陽介くんはバカが嫌い
中学で不良っぽい友達と付き合ってた陽介くんは、中三の夏過ぎに「バカがうつるから、お前らとは遊ばない」と言って猛勉強して高校に入った
私達の高校「県立弓備城(くびき)高校」は県では有数の進学校
私達は1年A組、みんな同じクラス
自分で言うのもなんだけど、入るにはそれなりの学力が必要だった
私は中学時代に母親と衝突する事が多くて、父に無理を言って一人暮らしをしながら進学させてもらった
母から逃げたかったってのもあるけど、勉強して母のようには、なりたくなかった
母は、勉強よりも大切な事があるとかなんとか言ってよく担任の先生と衝突していた
モンスターペアレントだったと思う
担任の先生は、凄くイイ先生で楽しく勉強を教えてくれた。押し付けるような勉強じゃなくて、自分から楽しんで勉強出来る、知りたいっていう欲求をどんどん沸き出させてくれる授業だった
勉強に没頭していた私を、母は危険だって思って先生に抗議をした
バカな母親
陽介くんにバカだって思われるのは、母と同類のバカだって思われるの一緒

本当にそれだけは、嫌だよ

一時限目の授業はまるで頭に入らなかった
みんなはどうしてるんだろう?
みんなだって恋をしてるはずなのに、授業に身が入っているのかな
誰かの事が気になって、頭の中の整理がつかなくて……
「また妄想に入ってるの?授業終わったよ」
気づくと夏蓮が私の机にほおづえついて向かい合って座っている
「うん、わかってるよ。ちゃんと号令したでしょー、ちょっと考え事……」
そう言いながら私は陽介くんの机の方をみる
陽介くんはトイレに行っているのか、教室には居ないみたい
「朝の事は冗談じゃなかったみたいだね」
夏蓮は普通の表情のまま、口元だけがニヤついている
「どういう意味?」
「朝だけじゃなくて陽介を狙っているって事」
「また発情の話?」
「そうじゃなくってさ………好きなの?陽介のこと」
「………えっ」
どうしてわかったんだろう
なんでそんな事を言いだしたんだろう
私そんなに陽介くんを?
夏蓮にわかるくらいに、好きって気持ちが外に溢れだしていたの?
私は絶句の後に色々な事を考えてしまい、返答が遅れる
まるで何か気まずい雰囲気が私と夏蓮を包み込んでしまったかの様な感覚
「………わかる?」
俯いたまま私はそう答えた、否定は出来ない、本当に好きだから
でも「うん、そうだよ」って全力で肯定も出来なかった

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