アナタの羽ばたきが世界を救う。

悪人正機 /幽霊?

テストが終わって、先生が教室を出た瞬間、剛志くんが崇くんの席に飛んでいく
比喩とかじゃなくて、文字通り、飛んで向かう

僕は話す二人を見ながら、葉子の動きをうかがった
葉子は窓から裏山を眺めている
うん、このままそこにいてくれーーー

と、願いは叶わず、いきなり眉間にシワを寄せたかと思うと、静かに崇くんと剛志くんに近づいていく
ヤバイ
今、聞かれるのはヤバイ
僕はブロックサインで、葉子が行った事を剛志くんに伝えようとするけど、剛志くんはテンションがあがっていて、全然僕を見てくれない

うーーん

こうなったら、知らないふりしちゃお

僕は剛志くんと、葉子が接触する前に視線をそらし、机の中を整理する仕草で無関係を装う

あとで剛志くんに謝ろう
葉子って怒ったら怖いんだよなぁ
神社の事とか、うちの風習とかの話を親戚以外するのを極端に嫌がるんだよね
顔を伏せて、ちょっと寝たふりでもしてれば、一時限目が始ま………………
「……千早」
しまった
鬼の声がする
「五十嵐……千早………くん?」
怖すぎる
なんで他人行儀で呼ぶんだよ
「……はい、なんでしょう……葉子さん」
「なんでしょうじゃない。千早、剛志に朝の事話したでしょ」
怖い、顔が怖い
「え!?話してないよ………全部は話してない」
言い逃れは出来ないだろうから……ちょっと認める
「あのねぇ、今日まで千早も教えてもらってない事なのよ。それを他の人に話せると思う?」
「うーーん、ごめん」
僕は大袈裟に謝ると、机におでこをすり付ける
「分かればいいけど……今日は大切な日なんだから、私からおじさんに千早も儀式に出るように言うから、これ以上は他言しないこと」
「えっ?いいのかなぁ」
「他の人に言うよりはね」
「なんでさ、葉子は今日の事にそんなに詳しいの?」
「はぁー、私は巫女で儀式の中心なの」
「えーそうなの!?」
「そうなの、だからお願いね」
そう言って葉子は席に戻り、また裏山の方を眺める
黙ってれば、可愛い方だと思うけど……

葉子の巫女姿かぁ
剛志くんに言えば、喜んでくれるかな
剛志くんは葉子の事が大好きそうだし
さっきの話は、やんわりと諦めて忘れてもらって、葉子の巫女姿で我慢してもらおうかな
あっでも儀式に剛志くんは連れて行けないんだ
写真……葉子撮らせてくれるかなぁ

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