アナタの羽ばたきが世界を救う。

悪人正機 /黒い感情

「………なんかエロかったな」
と崇くん耳を赤くしているけど、そんな風な感じじゃないと思うんだけどなぁ
「葉子にあんな趣味があったなんて」
と崇くんに合わせていると

バチンという大きな音、そして突然罵声のような大きな声が響いて、誰かが教室から出ていく
何が起こったかわからない
僕は状況を把握しようと教室を見渡す
花屋敷さんが、誰かを必死に介抱している
頭を撫でたり、肩を抱いたり
その相手は…………
「眞藤さん」
眞藤さんだ、眞藤さんが泣いてるんだ
さっき教室から出た男子は甲塚くん?
僕が首を捻って考えていると、崇くんが口をグッと一文字に閉めたまま教室から出ていく
「ん?タカくん?」
追いかけようとした時、入れ違いで剛志くんが入ってくる
「はっはっはー、捻り出してしたよー大物だったー」
と笑いながら入ってくるんだけど、教室内の雰囲気を咄嗟に察して僕を見る
「どうしたの?」
「さぁ喧嘩じゃない?」
泣いている眞藤さんを抱えるように抱き締めて花屋敷さんも教室から出ていく
するとザワザワと至る所で会話が始まる
「なになに?どうしたの?」
と剛志くんは女子に話を聞いてまわる
剛志くんは軽く往なされて情報は聞けない
「どうせたいした事じゃないでしょ。痴話喧嘩みたいな物だよ」
「仲良かったじゃん。甲塚くんと眞藤さん」
「タケくん。二人がもし前世からの繋がりがあったら、これもまた縁なのかもしれないよ」
「なんで?」
「雨降って地固まるって事」
「どうでもいいけど、クラス中が巻き込まれたみたいな感じだね」
「そうだね、これもまた縁なのかもしれないけどね」
そうこうしていると、甲塚くんが教室に戻ってくる
その表情は誰も寄せ付けない猛獣のよう
チャイムも鳴って、僕らも席に戻る
崇くんも教室に戻ってくるんだけど、こっちの表情は使い古し雑巾みたいにグシャグシャ
崇くんに声をかけられずに授業は始まってしまう

崇くん、剛志くんが言うには眞藤さんが好きなんだ
好きな子が泣いて授業に戻らないって辛いだろうなぁ
戻らないと言えば、葉子と菖蒲さんも戻らないけど…………変な事してないよ………ね?

後ろのドアが開き、花屋敷さんが入ってくる
「遅くなってすみません」
先生に一礼して席についた花屋敷さんは近くの女子に話しかけられる
「泣き止まないけど、頬の腫れは大丈夫だってよ」
と言っている
たぶん、ぶたれた頬の事だろう
崇くん良かったじゃない
怪我はさせられてないようだよ
と僕が崇くんを見ると、崇くんは一点をじっと見つめている

なんだこれ
今までに感じた事がない感覚
いや違う
学校では感じた事がない

前に感じた事があった
あれは……そう、どこかの家の亡くなった奥さんの部屋から出てきた木箱の……感じだ
人形やお札など、うちには供養してくださいって依頼がたまにくる
その中で霊感が無くてもヤバイと思ったのが、その木箱だ
木箱の中には、女性の髪が入っていて、クシと一緒に紐で結ってあった
父さんが丁重に供養したんだけど、依頼主にも言わなかった事がある
「あれは呪い髪だ」
生きている時に怨みを込めて、髪を切り、それを隠して保管していた
亡くなっても尚、呪いの髪は家に置かれ、怨念だけが家に留まって、呪いを行う
その話を聞いた時はゾッとした
どんな怨みがあったんだろう
どんな苦しみがあったんだろう
死んでも尚、呪いたいと思えた感情

到底理解は出来ない

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