アナタの羽ばたきが世界を救う。

屋烏之愛 /否定しかしない母

二時限目も私は集中出来ていなかった
先生はこの街の歴史を話しているんだけど、中学生の時の山内先生のほうがずっと面白く教えてくれる
いやいや今、過去の歴史なんて私にはどうでも良かった
陽介くんに嫌われていない
それどころか、お互い気になっている
こんなに素敵で嬉しい事が、この世界にあるんだろうか
自分が好きになった相手が、自分を好きでいてくれる
世界がどうなってもいい
本当にそう思える
もし私が泣いてしまったら、彼が笑顔にしてくれる
もし彼が落ち込んでしまったら、私が抱き締めてあげられる
……あぁ、なんて素敵なことだろう
急激に距離を縮めて………やっぱ発情してるのかな
「先生のオススメは、弓備城(くびじょう)跡の兜塚公園だな。ちょっとした心霊スポットになってて、夏休みまだ日の浅いカップルで行くならオススメだぞ」

それだ!!
先生ナイスアイディア!!

「小野沢先生が不純異性交際をススメてどうするんですか?」
夏蓮が社会の小野沢先生に突っ込むと、ドッと笑いが起こる
「花屋敷、先生は不純な異性交際は認めない………けど、何が不純かは経験しないと解らないだろ?」
「教師が言うことですか?」
夏蓮が呆れたように言うと
「わかった、花屋敷さん!私と行こうよ」
と菖蒲さんと言うボーイッシュな女子が言う
彼女は男性も女性もいけるって豪語する女の子だ
「おい待て待て、それ不純同姓交際狙いだろ」
男子が突っ込むと、またドッとみんなが笑う

私は笑いながら陽介くんを何気なく見る
陽介くんは笑っていなかったけど、もしかして私と一緒に肝だめししている所を想像して……
どんな肝だめしになるだろう
山の中腹にある兜塚公園には、兜塚っていう古墳があって、観光用だか教材用だかで、石造りの古墳が再現されている
元々あった古墳を使っているので、幽霊が出るだの、妖怪がいるだの心霊現象が真しやかに噂されている
私は幽霊なんて見たことないし………まぁ……普通の女子並みに怖いけど
それでも陽介くんとの肝だめしなら、うん、平気………………だと思う

陽介くんもそう思うよね

すると陽介くんが私の方を見る

目と目が合う

私は恥ずかしいのに、陽介くんの目をじっと見る
陽介くんも私の目を見つめる

わいわいと盛り上がってる教室のおしゃべりは私には聞こえず、陽介くんと二人っきりの空間

「冗談はさておき、明日は終業式…で夏休みだ。歴史、社会の勉強だと思って弓備城や兜塚古墳に行くのもよし、ご先祖様のお墓参りに行くのも良しだ。特別大した宿題は出さないが、自由研究として街の歴史に触れた何かを提出するように」
と小野沢先生は宿題を出す
クラスのみんな口々どうするかを話してると終業のチャイムが鳴る
「起立!!」
私の号令で授業が終わり、20分の中休みになる

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