アナタの羽ばたきが世界を救う。

一樹乃陰 /伝説の弓

さっきのイメージはなんだったんだろ
テストはどうせ解らない、適当に答えをなぐり書き天井を見る

前世の記憶
きっとそうに違いない
成富陸奥護郎の弓に関係している記憶って事だと思う
崇は僕が街の歴史に詳しいと思っているみたいだけど、ほとんどが千早の受けいり
歴史は全般に疎いし、地元とはいえメジャーでない歴史なんて完全に知らない
成富陸奥護郎が街に伝わる有名人って事は知ってるけど、それが江戸時代なのか、鎌倉時代なのか、奈良時代なのか……さっぱり
って言うか江戸時代と鎌倉時代って何が違うのって思うくらい
入試の時も社会は歴史は棄てて、地理や公民で点数を稼いだんだ
身体が大きいからスポーツでして、スポーツ推薦で高校にって話もあったけど、僕は性格的に運動で誰かと戦うってのが怖いんだよね。理由は解らない、相手を壊してしまうんじゃないかって思っちゃうんだよ
それも、もしかしたら前世の記憶と関係があるのかもしれないけど……

成富陸奥護郎の弓って聞いた時のあのイメージ、あの感覚
千早の家には古くからの歴史がある
その話を聞く度に、僕の前世の記憶は甦ってくる
古いしきたり、伝承どれも僕の記憶の中を掘り起こす起爆剤になっている

伝説の弓
鬼が出るか、蛇が出るか………

まっいいか
どっちに転んでも3人で居ればきっと楽しい
考え込んでも答えは出ないしね

「はーい、終了」
担任の中尾美里先生の終了の合図で、HRを利用したテストが終わる
先生が教室を出た瞬間、僕は机の上から忍者のようにジャンプして崇の席に飛び、着地でしゃがみこみ、主に報告する様に崇を見る
「さっきの話だけどさ」
「えっテストの答え合わせじゃねーの」
「ううん、昨日の番組」
「あー心霊特番な」
「呪いの人形ってあったじゃない?崇はああいうの信じる?」
まず、崇が伝説の弓に興味がなかったら意味がない
「信じるって言うか……さっき寺の息子が死後の世界を肯定しなかったんだぞ、信じられはしないだろ。まぁー面白いとは思うぜ」
死後の世界を否定?
お浄土で生まれ変わるって話の事かな??
あっでも面白いって思っているって事は、興味があるって事
「じゃあさ、千早の家に……あっ」
僕は後ろに殺気を感じる
この感覚は……あの子
まただ、崇に前世の記憶の話をしようとすると、いつも邪魔が入る
って事は、成富陸奥護郎の弓は前世と関係があるって事だ

振り向き、視線をあげるとそこには、千早のいとこの尾崎葉子さんが僕を睨み付けている
「なんだよ、尾崎」
崇がそう訊ねると、「別に」と答え、尾崎さんの視線は僕を膠着させる
「……剣崎君」
「えっ何!?」
こういう時は、ふざけてやり過ごすのが一番だ
「うちの家に何があるって?」
「いや、なんの話?ははは」
と崇に同意を求めながら、笑って見せる
「まったく……ほら一時限目始まるよ」
尾崎さんはそう言って自分の席に戻る
よし、作戦成功!!!
「尾崎って見かけによらず、こえーよな」
確かにそうだ
僕の方が身長は圧倒的に高いのに、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまう
尾崎さんは凄い霊力を持っているのは 、僕にはわかる
って言うのは、僕が前世を信じる理由の1つになっているんだけど……僕には霊感がある
幽霊とか、憑いてるものが見えてしまっている
それが他の人には見えていないと知った子供の頃から不思議だった
死んで幽霊になるなら、なんで生きてる人より幽霊が少ないの?
天国と地獄があっても、あの世だって定員オーバーしないのかなって
でも生まれ変わり、輪廻転生を知った時、僕は納得したんだ
だから朝の千早の話も納得できてしまう

尾崎さんには、尻尾が4本あるキツネが尾崎さんのそばにいつもいる
そのキツネの霊力はとてつもなく凄まじい
普通じゃないのがわかる
尾崎の家は双弓神社という神社で、代々霊力を維持している為に僕では想像もしない事をしている
「尾崎さんちは、代々千早の家のお寺を守ってるんだって、血が濃くならない程度に、なん世代かおきに五十嵐家と尾崎家は結婚するんだってよ」
五十嵐家、つまり千早の家の天双寺と子供を作る
そして血を一定の濃さに保ち、霊力を維持しているという
「マジか、変わってるな」
話を弓に切り替えようとした時チャイムが鳴る
……また話すチャンスが奪われる

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