アナタの羽ばたきが世界を救う。

自暴自棄 /今日は……

2000年7月20日

俺は今日だと決めていた
今日、誰にも必要とされなかったら……
誰かに、居て欲しいと言われなかったら……

俺は決めていた

元々、望まれて生まれたわけじゃない
俺の事なんて、家族は望んでいなかったんだ

俺には、10歳上と4歳上に兄がいる
それと父親と祖母の5人家族
4つ上の兄は意地悪で、いつも喧嘩をして、10歳上の兄は、あまり相手にしてくれなかった
そして母親は居なかった
なぜかと6つの時に、祖母に訊ねると
「あなたの命は一つじゃないの」
と言われた
その意味がわからなくて、4つ上の兄に聞いたら、兄は僕に殴りかかった
殴られた俺は泣いて、10歳上の兄に事情を話した
すると兄はこういった
「あいつは、お前が母さんを殺したと思ってるんだ」

俺の誕生日は、母の命日だ

祝ってもらった事なんてない



朝から太陽が輝いている
家を出る時も誰も見送る事もないし、誰も声をかけない
それが俺の家だ

10歳上の兄はもう一人暮らしをしていて、家を出ているけど、4つ上の兄は、大学にも行かない、バイトもしないで、引きこもってる
それを父も祖母も相手にしていない

誰も家族に興味がないんだ
「いってきます」
そう小声で言う

たぶん最後の「いってきます」


踵を履き潰したシューズを履き、門を出ると偶然だろう、同じクラスの菖蒲綾女が通りかかる
「あっ、陽介の家はここなんですね」
仲が良いわけでもないのに、呼び捨て
それだけで、心の隙間に入ってこられる感覚が気持ち悪い
「なんだよ、朝一番にお前の顔みるなんて」
毒を吐いてみる
「そんな事言わないで下さいよ。それとも泪だったら良かったですか?」
女はすぐこれだ
頭の中は恋愛トークしか考えてないんだろうか
菖蒲の言う泪ってのは、幼馴染みの花屋敷夏蓮の最近出来た友達だ
「お前よりは、いいかもな」
「泪もきっと喜びますよ」
と言って、菖蒲はスキップしながら行ってしまう
好き勝手話して、置いていくのかよ

眞藤泪………か
いつも花屋敷の隣のいるくらいしか意識はしてなかった
あいつは、俺を必要としてくれるだろうか?
幼馴染みの花屋敷?
あいつはダメだ
自己中だし、俺を自分の所有物と言うか、ペットと言うか、いつでもどうにでも出来ると思ってるんだ
今の高校に入る為に、塾や家庭教師をつけて俺は猛勉強した
そしたら花屋敷は私も教えるとか言って、家に上がり込んで、家庭教師を気取っていた
たぶん俺が入学出来たのは、自分のおかげだと思ってるだろう

学校へ向かういつもの通学路
俯いたまま一人で歩いているヤツ
友達と騒いでいるヤツ
色んな奴らがいるなか、俺は二人組の女子に目が止まる
「そうね、エッチな番組あるし」
「って、また発情期みたいに言ってー」
さっき言っていた花屋敷と眞藤だ
「なんだよ、女子のクセに朝から眞藤発情してんのか?」
と、いきなりツッコミを入れると
「いや泪の発情は朝限定じゃないから、陽介も狙われるかもしれないよ」
と返すのは花屋敷だ
俺は眞藤に話しかけてるんだよ
「マジかよ、誰でもいいのかよ眞藤」
もう一度、眞藤に話をふる
「なんでそうなるのよ!私は正常です」
眞藤は怒ってしまう
女はすぐ怒る
俺は誰でもいいのかって聞いてるだけだ
……俺でもいいのかって、聞きたかっただけだ
怒るなよ
すると花屋敷は笑い出す
眞藤が怒ってる顔見て、笑い出す
友達が怒ってるのに、それを笑うなんて……
でも俺もそこは笑っておく
たぶんそれが一番この場が平穏無事に治まるから
それに今、ここに眞藤がいるのは、おかしい
「って言うかさ、なんで眞藤まだいんの?」
「えっどういう意味?」
「昨日は西藤が日直だったから、今日はお前だろ?急がなくていいの?」
「あー、日直も忘れてたけど、テストも忘れてたぁ」
眞藤は救いを求めるような顔をする
「こればっかりは助けられないかな」
とまた花屋敷は笑いながら答える
本当に友達がいのないやつだ
「急げ眞藤!!まだ間に合うかも、走れ!!」
「うん!!」
俺が走れと言うと、眞藤は一所懸命に走り出す
「ダメね、脚が遅すぎる」
また花屋敷茶々を入れる
こいつ、本当に友達のつもりなのか?
「カワイイよな……眞藤」
俺は花屋敷に聞いてみる
「でしょ、ほっとけないよね」
カワイイと思ってるのは、自分の玩具として花屋敷は思ってるんじゃないのか

友達って、こんな関係性じゃないだろ
一方的に感じる

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