アナタの羽ばたきが世界を救う。

自暴自棄 /怒り

HR、一時限目の授業、どれもどうでもいい事だった
休み時間、俺は図書室に急いだ
このタイミングで成冨陸奥護郎の読んだ事のない本に出会えれば、何かが変わる気がしたんだ

「あっ」
思わず声が出る
目の前に成冨陸奥護郎の子孫が居たからだ
「尾崎?珍しいな、お前が図書館なんて」
尾崎葉子
五十嵐千早のいとこで、同じく成冨陸奥護郎の子孫だ
「家の調べ物でね、甲塚くんは?」
「あー成冨の弓と九尾のキツネの本探してるんだ」
成冨陸奥護郎の弓は、伝説になっていて実在するって噂がある
江戸時代に子孫がその弓で、キツネを退治したって話があるんだ
「なんでそんな本を?」
「成冨陸奥護郎の事を調べているんだ」
「甲塚くんが?意外ね」
「そうか?結構前から興味あったんだよ。伝記も読んだしな」
「九尾のキツネと成冨陸奥護郎って関係があるの?」
「そういう文献があるって聞いた事があんだよ。って言うか、尾崎って成冨陸奥護郎の子孫なんだろ?」
「よく知っているね。苗字が違うから、気づく人はいないって思ってた」
「じゃあさ、成冨が江戸時代初期の弓備城一揆の主犯って知ってるか?」
一揆は成功して、真藤家は滅んで、成冨家は生き残った
「そういう話もあるって事でしょ。弓備城の主が滅んで、成冨の子孫が残ってるって昔の人が知ったら怒っちゃうかもね」
「尾崎は、なんで滅んだと思う?」
「さぁ、一揆だから討ち死にとかじゃないの」
「俺はさ、九尾が関係があるって思うんだ」
成冨陸奥護郎の弓を使ったから、一揆に成功したなんて、そんな歴史があるはずない
九尾ってのは隠語で、成冨に力を貸した何かがいるはずなんだ
成冨陸奥護郎の子孫とこんな話が出来るなんて、俺は少し興奮した

……けど

「妖怪が本当にいるって、ははは。甲塚くんって子供みたいな事言うんだね」
尾崎は笑って、俺を否定する
「そうかな」
合わせるように、俺も笑う
「なんか千早っぽい」
あははと声を出して笑う尾崎

お前は、同じ子孫と子孫でも、五十嵐とは全然違うな

たぶん成冨の血もそんなに受け継いでないんだろう

  • しおりをはさむ
  • 5
  • 0
/ 126ページ
このページを編集する