龍のナミダ Ⅰ 【完】

prologue /出発



「紗羅(サラ)…本当に大丈夫なのか?」



『大丈夫だよ、パパ。

もう平気だから…心配しないで?』




「そうか…。一緒に帰ってやれなくて、本当にすまない。この仕事が落ち着いたら、必ず帰るからね。

綺羅(キラ)にはパパから連絡しておいたから、迎えに来てる筈だよ。

パパが居なくて寂しいと思うけど、喧嘩せずに仲良くするんだぞ。」



そう言ったパパが寂しそう。

この仕事が落ち着いたら、とは言うけどそれは大分先の事になる事くらい分かっている。



『うん、ありがとうパパ。そろそろ行かなきゃ乗り遅れちゃう。』



そう言って困ったように苦笑すると、ギュッと握られていた大きな手がゆっくりと離れた。




「いつでも、戻っておいで…」



『行ってくる。』



パパの言葉には返事をせずに、まるで自分に言い聞かせるようにポツリと呟き、搭乗ゲートに向かって歩き出した。





歩き出したものの、パパの事が気になって振り返ると、複雑な表情を浮かべたまま立ちつくしていた。



大好きなパパのそんな顔は見たくなくて、精一杯の笑顔を向け大きく手を振った。



するとパパは目を細めて優しく笑い、少し恥ずかしそうに手を振り返してくれた。









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