龍のナミダ Ⅰ 【完】

崩れゆく日常 /蛇の企み



声のした方に目を凝らしても

窓に差し込む西日が眩しくて表情が分からない。



男はゆっくりと立ち上がると、こちらに向かって歩き出した。




両手を掲げ


“パンッパンッ”


と手を叩くと


「お前等、もう終いだ。」


と言い放った。




「何でですか!?海野さん!!もう少しで…」


「今いいとこなのに!」


男達も訳が分からないらしい。



けれど――反抗的な態度だった男達も、海野の威圧的な目に脅えすぐに口をつぐんだ。



「盛ってんじゃねぇ、このサル共。
…余興はここまでだ。

ハァ…まさか女1人にこのザマたぁな。
ジャンキー共じゃ所詮こんなもんか…」



そう吐き捨てると、俯き自嘲的に笑った。





サラリと流れるハニーブラウンの髪。


スラリと伸びる足に高い身長。


つり目がちの切れ長の瞳。




海野と呼ばれるこの顔に見覚えがあった。



確か、晴香達が“3年生にカッコイイ人がいるのぉ!”って騒いでいたっけ…



あの学校はthirDRAGONのテリトリーだと思っていたのに、

まさか、このイカレたチームのメンバーも紛れ込んでいたなんて…



学校内での“龍”の動きを見れば、噂を否定した所で何の意味も無い。


名目上は生徒会だが、メンバーはthirDRAGON。


教室にいても充や夏樹の護衛付き。


帰宅時は大概、龍の幹部と一緒。


紗羅がthirDRAGONと密接な関係なのは一目瞭然だ。



それなのに、今まで黙って見ていたこの男が動き出したとすれば…



この今置かれている状況が、いい方向へ進む筈が無い。



今度は何が起きる…?



紗羅は、ゴクリと唾を飲み込むと、真っ直ぐに男を見据えた。





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