龍のナミダ Ⅰ 【完】

崩れゆく日常 /訪問者

※※ 紗羅Side ※※


もうすぐ夏休みを目前に控えた、ある日の事だった。



放課後、校門の前に止められた黒のBMW。 



車に寄り掛かかり、煙草を吸っている男の姿を見て下校途中の女子達がキャーキャー騒いでいる。



しかし、騒ぎの中心にいる男は大層ご立腹の様子だ。




眉間に皺を寄せ、右足が僅かに揺れている。



吸っていた煙草の火を消すと、またすぐ次の煙草に火を付けた。




――苛立った時の仕草は、昔と少しも変わっていない。





視線を逸らせなくなる程、人を惹き付けるオーラも。






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