龍のナミダ Ⅰ 【完】

交錯する思惑 /追想

※※ 紗羅Side ※※



暑さも益々厳しい、8月のある日。


突然の、響からの電話。



《紗羅…そろそろ奏に会ってやって?きっと寂しがってる。

これから迎えに行く。出掛ける準備しといて。》



響が突然誘ってきたのはきっと…私が辛い思いをしないように。



奏を想って眠れない夜を過ごさないように。



色々考えて、やっぱり行かないって言えないように。



有無を言わせず切れた電話。


――君に会いに行く。


ずっと、ずっと出来なかった。




でも、響がいるなら…


響と一緒なら…行けるかも知れない。



“大丈夫”


そう自分に言い聞かせるように、首にかかるネックレスをギュッと握り締めた。







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